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2018.12.18 起業と資金調達

さて、突然ですが質問です。

企業活動において一番大切なことは何でしょうか。

夢、情熱、希望、仲間、お客様、etc.

答えは様々だと思います。

しかし、企業が存続していく上でもっとも必要なものは、

ズバリ「資金」です。

もっとストレートな言い方をすると「お金」です。
前にも書きましたが、企業活動を継続していくためには、事務所賃料・人件費・広告費・交際費など、様々なコストを負担しなければなりません。
これらをうまくかけない形で起業したとしても、自身の「生活費」というコストは必ずかかります。

現代社会において、人がそこで生活していてお金がかからないということはおよそあり得ないからです。
この「資金」という問題が起業家を深く深く悩ませます。

では、どうやってこの問題をクリアすれば良いのでしょうか。
選択肢をいくつか考えてみました。

大きく分けて、3つの方法があるように思います。

<オプション1>

自力で稼ぐ。

これは、起業して比較的早くにマネタイズできる場合に向いています。
ライブドアやサイバーエージェントも、創業当初はHP製作(ライブドア)や営業代行(サイバーエージェント)を積極的に受注し、活動資金を稼いでいました。
当事務所のクライアント(顧問先)にも、起業して間もない創業者一人の会社ですが、高度に特殊な技術を持っており、大企業とライセンス契約を交わすことで十分な活動資金を稼いでいる会社があります。
自力で稼ぐことのメリットとしては、自分で稼いだお金を自分で使っているだけなので、後に説明する借入れ(オプション2)のように返済義務はないですし、出資(オプション3)のように持分の放出もありません。

<オプション2>

借入れをする。

すぐにお金を稼ぐのが難しいけど少し先には実現しそうな場合、利用するのが借入れです。
銀行などの金融機関から、「事業資金」として借り入れるのです。
あくまで「借りている」だけですので、当然返済の義務があります。
また、貸し付けた側としては貸したお金がそのまま返ってくるだけでは面白くありませんので、返済時には「利息」を支払わなければなりません。
ただし、近年は制作金融公庫などの創業融資が充実してきており、数%という比較的低い利息で無担保・無保証でお金を借りることができるようになってきました。
したがって、創業したてのベンチャーにとっても、借入れは十分選択肢に入るのではないでしょうか。
(ただし、返すアテのある場合に限る。)

<オプション3>

出資を受ける。

「起業」、「ベンチャー」、「スタートアップ」という言葉から連想される資金調達方法として、まず頭に思い浮かぶのがこの方法です。「資金調達」という言葉と同義になってしまっていると言っても過言ではありません。
会社の持分(普通は株式)を一部放出することによって資金を得る方法です。
借入れ(オプション2)と違って、基本的には返済する必要のないお金(ただし、投資スキームによっては返済義務が生じるものもあるので注意)ですが、会社の持分の一部を第三者に譲り渡すことになります。
会社の持分を持っていると、会社の経営に対して口出ししたり、配当を受けたりすることができます。
そして、何よりも大きいのが、持分を持っていると会社の経営が上手くいってバイアウト(会社を売却すること)やIPO(いわゆる上場、株式を公開して誰でも買付けができるようにすること)した時に、出資したお金の何倍、何十倍ものリターンを得ることができます。
投資家は、このリターンに期待して見込みのある企業に出資をし、経営に口出し(時に「ハンズオン」と言ったりもします)をするのです。
ちなみにこちらは「エクイティファイナンス」とも呼ばれますが、非常に奥が深く面白い分野です。様々なスキームがありますので、次回以降のブログで掘り下げてみたいと思います。

さて、ここに挙げた3つの方法は、どれが一番良いのでしょうか。

答えは “It depends”

「時と場合による」です。

「十分な活動資金が自力で稼げている」という状況であれば借入れも出資も必要ないですが、「十分な活動資金はしばらく頑張ったら少し先だけど入ってくる」という状況であれば借入れ(オプション2)をするのが良いかもしれません。

また、「チャレンジングな事業をやっていて成功した時の果実はすごいけど活動資金を稼ぐのが難しい」という状況であれば出資(オプション3)に頼るのが良いかもしれません。

また、状況に応じてオプション1〜3の組合せもあり得ます。

何が良いのかは一概には言えません。

自分たちの持っているスキルや人脈を棚卸しし、「やりたいこと、やろうと思っていることを実現するにはどうすべきか」をじっくり考えてみることが肝要です。

当事務所では、各企業の個別フェーズに応じたサービスを提供しています。

顧問先には、創業後何年も経過している企業はもちろんのこと、創業間もないベンチャーや、まだ創業前の起業準備中の方さえもいます。

資金調達や法務の部分だけでなく、彼(彼女)らの事業にとって何が一番良いのかを考え続け、彼らと一緒に成長していけたら良いなぁと思っています。

そんな新しい時代の弁護士像を模索し、私は今日も試行錯誤している次第です。

東京スタートアップ法律事務所
代表弁護士 中川浩秀