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2019/1/15

出資による資金調達 / シード期(入門)編

出資による資金調達 / シード期(入門)編

 

 

寒いですね。

こんな季節は事務所に引きこもってブログでも書こうと思います。

 

 

 

さて、前々回のブログ「起業と資金調達」

 

https://tokyo-startup-law.com/blog/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0%E6%9B%B4%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E2%91%A5/

 

にて、資金調達の方法としてどんなものがあるかについて書きました。

 

 

 

その中で、以下の2点を書きました。

 

・資金調達には大きく分けて以下の3つの方法(①自力で稼ぐ、②お金を借りる、③出資を受ける)がある

 

・それぞれメリットとデメリットがあって何が良いというのは一概には言えず、時と場合によって使い分けることが肝要

 

 

 

 

近年では日本でも、カネ余り現象にイノベーション創出への切迫感も合間って、ベンチャー投資に回る資金がどんどん増えてきており、出資による資金調達も盛んになってきています。

 

 

また、出資を受けて資金調達を受けるという方法は、起業家サイドからすれば返済義務のないお金を注入してもらって事業資金にあてることができるので、大変魅力的です。

 

 

 

なんとなく「スタートアップ・ベンチャーといえばVC(「ベンチャーキャピタル」の略称で、ファンドを運営し投資を生業とする企業)からの資金調達でしょ!」みたいなイメージもあります。

 

 

 

 

ということで今回は、資金調達方法のうち、「③出資を受ける」という方法について少し掘り下げてみたいと思います。

 

 

と言ってもここは学問的にも実務的にも非常に奥が深い世界ですので、今回はシード期に注目しつつ、「出資による資金調達」の全体像について述べてみたいと思います。

 

 

決して教科書的に体系的に理論立てて説明するものではありませんので、その点だけご承知ください。

 

 

 

 

 

さて、「シード期」とは、起業したばっかりとかでまだサービスやプロダクトがローンチされていないとか、とにかく色々準備段階のフェーズを言います。

 

 

 

この段階は、多くの場合お金は入ってきていません。

 

でも、お金は何かと出ていきます。

 

オフィスの賃料、水道光熱費、人件費、広告費などなど。

 

 

え、自分はオフィスも借りずに自宅で作業しているし、人を雇っていいないし、広告も出していないのでお金はかかっていない??

 

確かに起業家の中にはそんな人も結構いますね。

 

最近では、特にソフトウェア系のサービスではパソコン1台と自分の体一つで事業をスタートすることも可能になってきています。

 

しかし、そういった方は大事なものを見落としています。

 

 

 

それは、「自分の人件費」です。

 

 

役員報酬を出していなかったとしても、人がそこで生活をしている以上、生活費はかかります。

 

そう、極限まで経費を切り詰めたとしても、自分の生活費はかかるのです。

 

 

 

しかし、シード期においてはまだマネタイズ(自社のサービスやプロダクトでお金を稼ぐこと)ができていないことが多いですから、それまでの経費をどうやって賄うのかという問題が発生しがちです。というかほぼ発生します。

 

 

 

またこれは私の意見ですが、どこかのタイミングでそれなりのお金をかけないと、ほとんどのビジネスはグロース(企業やサービスが成長すること)しません。

 

 

 

 

 

そこで、十分なマネタイズができるまでの活動資金を「出資」という形で調達してくるのです。

 

 

 

この時、その会社の価値を算出して、それに応じた株式を発行します。

 

例えば、その会社の企業価値を1億円として見積もって、20%の株式を発行して2000万円の出資を受けます。

 

 

こうすることで、その会社は2000万円の事業資金を得ることができます。

 

 

 

 

では、「株式を発行する」とはどういうことでしょうか?

 

 

これは、会社の支配権を放出するということを意味します。

 

 

具体的には、出資した人(以下「投資家」と言います)は、株式を購入することによって持分に応じた「金銭的リターン」と会社の「議決権」を得ます。

 

 

 

先ほどの例で金銭的リターンを説明すると、1億円と評価して2000万円会社がその後事業がうまくいき、晴れて上場(証券取引所に当該株式を公開すること)をすることになりました。その時の企業価値が市場において100億円と評価されました。

 

 

その場合、投資家からすると、2000万円を出資して得た株式の価値が20億円と評価されたことになります。

 

 

 

そうすると投資家は、その株式を売却することによって19億8000万円(20億円−2000万円)の金銭的なリターンを得ることができます。

 

 

 

これはめちゃくちゃ嬉しいですよね。

 

 

 

 

続いて議決権についてですが、会社の重要な意思決定は多数決によって決まります。

 

 

この議決権は、基本的には株式の保有割合によって決まります。

 

 

つまり、株式を多く保有していれば会社の重要事項について影響力を持つことになるのです。

 

 

投資家のスタンスは様々ですが、会社の意思決定に関与することで事業そのものを軌道に乗せよう、成功に導こうというスタンスで出資を行う人たちもいます(こういうスタイルを「ハンズオン」といいます)。

 

 

 

(ちなみに「議決権制限株式」という例外もありますがこれは次回以降に譲るとして、ここでは原則形態である普通株式の場合だけを覚えておいてください。)

 

 

 

このように、投資家は起業家に対して出資という形で事業資金の提供をする代わりに、会社の株式という形で価値上昇による金銭的リターンを狙うのです。

 

 

 

なんとなく出資による資金調達についてイメージが湧いたでしょうか。

 

 

 

 

株式を使った資金調達は非常に奥が深い分野で、例えば以下のような問題点が浮かび上がります。

 

・マネタイズできていないベンチャーの企業価値をどうやって算出するの?

 

・出資は決まったけど大きな割合の株式発行を要求されてしまったらどうしたらいいの?

 

・出資したいという人がたくさん出てきているんだけどみんなに少しずつ出資してもらうのはありなの?

 

・上場や会社の売却までたどり着かずに事業が頓挫してしっ待った場合、残った会社財産の清算はどのようにしたらいいの?

 

・出資してもらう以外に起業家と株主との間でいろんな取り決めをしたいんだけどどうしたらいいの?

 

・etc…….

 

 

 

これらの問題を解決するスキームは考案されていますし、実際に実務でもよく利用されています。

 

 

 

しっかり理解しようと思えばそんなに難しい話ではないですが、それなりに込み入った話になるので、その解説は次回以降に譲ろうと思います。

 

 

 

 

今回は、出資による資金調達の全体像を掴んでもらえればと思いますので、ここらへんで筆を置かせていただきます。

 

 

 

 

 

東京スタートアップ法律事務所

代表弁護士  中川浩秀

 

 

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